エルグレコ展 東京都美術館
2013.03.09 カテゴリ:イベント
- エルグレコの祭壇画の最高傑作の一つ「無原罪のお宿り」も初来日
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- ベラスケス、ゴヤとともに、スペイン三大画家と呼ばれる巨匠エル・グレコの展覧会が東京都美術館で開催。代表作の他、初期のイタリアでの修行時代の作品や、流行画家として多くの注文に応えたトレド時代の作品、教会建築全体の空間演出も手がけていた最盛期の巨大な祭壇画も展示されている。
- 世界中の名だたる美術館やトレドの教会群から油彩およびテンペラ画51点が集結。高さ3 メートルを超える祭壇画の最高傑作の一つ「無原罪のお宿り」も初来日!
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- クレタからイタリアのヴェネツィアとローマ時代、そしてスペインへ
- エル・グレコという名は「ギリシャ人」という意味のあだ名。本名をドメニコス・テオトコプーロスというギリシャ生まれの画家。生地クレタ島でキリスト教にまつわる図像を描くイコン画家として画業をスタートさせ、その後ヴェネツィアとローマに渡り西欧絵画の技法を習得し、35 歳頃スペインのトレドにたどり着く。そして没するまでの後半生をトレドで過ごし、画家として大成功を収めた。
- 自然主義的な色彩と光による現実の描写、および解剖学や三次元性、短縮法、遠近法に基づく身体と空間表現に出会い、自らの絵画様式を一新したと言われている。その模範となったのは、ティツィアーノ、テイントレット、コレッジョ、パルミジャーノ、ミケランジェロの芸術であった。ヴェネツィアやローマで吸収した芸術観や技法を確立させ、その後スペインで、スペインの三大画家と呼ばれるまでの大巨匠となった。
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- 『羊飼いの礼拝』 フレズレクスン ヴィルムスン美術館蔵(左)
- 1568-1569年 テンペラ 63.5×76cm
- 『羊飼いの礼拝』はエル・グレコが生涯にわたり好んで取り上げた主題。左はヴェネツィア時代の初期の段階に描かれた作品。
- 『羊飼いの礼拝』 バレンシア コルブス・クリスティ学院総大司教美術館蔵(中央)
- 1605年頃 油彩 136×116cm
- 中央はスペイン時代に描かれた同名主題の作品。縦長のカンヴァスに夜の情景として表されている。上空のプットー達が祝福している下で、聖母マリア、ヨセフ、羊飼いらがシーツの上に寝かされた幼子イエスを囲んでいる構図。
- 『羊飼いの礼拝』 ニューヨーク メトロポリタン美術館蔵(右)
- 1610年頃 油彩 110.5×65.1cm
- 右は数多い同名主題の作品の中でも、最も年代の下る作品で、エル・グレコ自身の墓所を飾る祭壇画として描かれた晩年の大作の縮小バージョン。祭壇画として描かれた本来の作品は、スペインのプラド美術館に所蔵されている。
- 『無原罪のお宿り』 トレド サンタ・クルス美術館蔵
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- 1607-1613年 油彩 347×174cm。 本展覧会での最大の見どころ『無原罪のお宿り』!!
- エル・グレコ最晩年の最高傑作の一つで、トレドのサン・ビセンテ聖堂オバーリェ礼拝堂の主祭壇画として制作された。主題は、聖母マリアが原罪を免れて生まれたというカトリックの教義を表している。
- 大胆な縦長の構図、聖母マリアの曲がりくねった長い体、極端な角度で描かれた天使の翼。見上げる人に絵全体が動いているかのようなダイナミックな印象を与えていると言われている。また聖母マリアの頭上の鳩と光は、聖霊と神の恵みとして光を示し、バラやユリはマリアの純潔の象徴とされている。
- 引き伸ばされ地上の重力から解放された人体やその上昇するエネルギー、天上の光のもと輝く神秘的な色彩の乱舞は、エル・グレコ芸術の頂点と言われている作品。
- エル・グレコの魅力〜気品に満ちた美女達
- エル・グレコの魅力は、雲上を見上げるように配された迫力ある祭壇画は勿論だが、彼の描く女性達は、とにかく気品に満ち溢れて美しい。以下の3作品は、鑑賞していると見入ってしまうほどだった。
- 『白貂の毛皮をまとう貴婦人』 グラスゴー美術館蔵(ポロック・ハウス)
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- 1577-1590年 油彩 62×50cm
- この作品の貴婦人の美貌、色彩の美しさ、透明なヴェールや肌の質感の迫真的な表現に目を奪われる。鑑賞する我々を見つめる、確固たる目つきはミステリアスな魅力を醸し出している。
- 『聖アンナのいる聖家族』 メディナセリ公爵家財団タベラ施療院蔵 トレド
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- 1590-1595年 油彩 127×106cm
- 聖母マリアの甘美で理想化された顔は、エル・グレコの女性像の中でも、最も美しいものの一つと言われている。情感や情緒が満ち溢れている。
- 『悔悛するマグダラのマリア』 ブタペスト国立西洋美術館蔵
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- 1576年 油彩 156.6×121cm
- この作品は、悔悛する聖人や聖女を表した数多くのエル・グレコ作品の中でも珠玉の一点と言われている。金髪に大きく黒い瞳、赤い唇の彼女は、豪華な絹をまとい、気品に溢れている。
名称 | エルグレコ展 |
会期 | 2013年1月19日(土)~ 4月7日(日) |
美術館名 | 東京都美術館 |
開館時間 | 午前9時30分~午後5時30分 金曜日は午後8時 |
休館日 | 月曜日 |
住所 | 東京都台東区上野公園8-36 |
電話番号 | 03-3823-6921 |
公式サイト | http://www.el-greco.jp/index.html |